実践的デジタルマーケティング パート3:「顧客をコンバージョンへ導く」
デジタルマーケティングpart3
顧客の後押しをする
顧客へのアプローチ
どうすれば顧客を動かすことができるか
こんにちは。 「実践的デジタルマーケティング」第3回へようこそ。 前回は、見込み顧客が購入に至るまでの意思決定プロセスの段階を学び、 それぞれのペルソナ(顧客像)を図に整理しました。 今回はその次のステップ、「どうすれば顧客を次の段階へと“動かす”ことができるか」 について学びます。
顧客を「次の段階」へ導くための考え方
顧客の声を取り入れる
前回作成した「顧客の意思決定フロー」をもとに、 どのように見込み顧客を一歩ずつ購買へと進ませていくかについてお伝えします。 まず、前回描いたペルソナ図(顧客像)を振り返り、 それぞれの段階において「最も効果的な広告チャネル」を検討することから始めます。 たとえば、チラシやSNS、Google検索など、顧客が触れる可能性のある場所―― それが「タッチポイント」です。 そして、タッチポイントを考えるときに同時に整理すべきなのが、 顧客の「不満」や「不安」、つまりペインポイントです。 それには2種類あり、本人が自覚している顕在的なものと、 まだ自分でも気づいていない潜在的なものがあります。 このような心理を整理することで、顧客が「なぜ動かないのか」「何を恐れているのか」が見え、 マーケターはその不安を少しずつ解消してあげることができるようになります。 ただし、こうした情報を机上で想像するだけでは不十分であり、 本当に精度の高い分析を行うには、実際に顧客と関わる人々―― 販売員や購入経験者などへのヒアリングが欠かせません。 こうして現場のリアルな声を取り入れながら、顧客の心理構造を理解することが、 次の段階への導線設計の第一歩となるのです。
「ナッジ(後押し)」の実践
顧客を次の段階へ進ませる実践的アプローチ
実際のペルソナを想定したマーケティング施策の例を紹介します。 ここで大切なのは、理屈だけではなく感情の読み取りと表現の工夫です。 たとえば、あるペルソナは「ポストに入るチラシがうるさい」と感じています。 この人に普通のチラシを投げても効果はありません。 しかし、同じチラシでも黒い封筒に金の文字で包み、 「いつものチラシとは違います。地元の花屋から母の日のお知らせをお届けします。」 という一文を添えたらどうでしょう。 それだけで印象が変わり、相手の心に小さな変化が生まれます。 マーケティングとはまさにこの「小さな心理的変化」を生む行為であり、 これこそが“ナッジ”の実践です。 また、別のペルソナは「花の意味を間違えたくない」と不安を抱えています。 この人はSNSをよく利用する層であり、InstagramやTikTokの投稿から情報を得ています。 そこで、「母の日に贈ってはいけない花」や「誕生日におすすめの3つの花」など、 知識を共有するタイプのSNSコンテンツを発信することで、 顧客を安心させ、次の行動――実際の購入――へと導けます。 さらに、購入直前の顧客にはGoogleマップの情報が有効です。 Googleマイビジネスに店舗写真や説明文を丁寧に掲載すれば、 比較検討中の顧客の信頼を得ることができます。 このように、ペルソナごとにタッチポイントとペインポイントを見極め、 それに合った言葉やデザイン、表現方法を選ぶことが、 顧客を「次の段階」へ進ませる最も実践的なアプローチなのです。
データと心理を結びつける「キーワード」と「戦略」
こうした感情的な理解をさらに具体化するために、 データを使ったキーワード分析が重要になります。 「Otter Keywords」というツールを例にとります。 「花 プレゼント」と検索したときに出てくる関連ワードを調べてみましょう。 検索データを見れば、「3本の花」「5周年の花」「造花」「リボン」「ケーキ」など、 人々がどんな目的で花を探しているかが具体的にわかります。 たとえば、「ケーキ」と一緒に検索する人が多ければ、 ケーキ店とのコラボ企画を検討することで新しい顧客層を開拓できるのです。 このようにして得られたキーワードは、 Webサイトの構成や広告文、ランディングページの内容、 そして企業同士の協業戦略にまで活かすことができます。 一方で、「検索ボリュームの大きさ」に頼りすぎる危険もあります。 多くの人が検索する“ビッグワード”を使えばクリック率は上がるものの、 実際のサービス内容と乖離した広告になるリスクがあるのです。 そこで重要なのは、量ではなく質――つまり“マッチワード”です。 自社の提供価値や顧客の心理に最も合ったキーワードを使うことで、 深いレベルで顧客の心に届くコンテンツを作ることができます。 最後に、効果的なマーケティングは「トップダウン型」と「ボトムアップ型」の融合だと述べます。 上からデータで戦略を組み立てるトップダウンの方法と、 顧客の心理から施策を生み出すボトムアップの方法。 この2つを組み合わせることで、 マーケティングは機械的な施策ではなく、人間の感情に基づいた科学になるのです。
あなたの“撮りたい”に、