実践的デジタルマーケティング 第５回：「マーケティングのためのWebサイト最適化」

「MPとCP」という2つの視点

今回のテーマは、Webサイトをマーケティングの中核として最適化するという話です。 マーケティングを突き詰めると、やるべきことは本当にシンプルで、 「どうやって人に知ってもらうか（Awareness）」と「どうやって成果につなげるか（Conversion）」、 この2つだけなんです。 ただし、その2つの役割を1人で担おうとすると、ほぼ確実に効率が落ちます。 だからこそ、現場では2つの専門職が存在します。 ひとつは「メディアプランナー（MP）」。 彼らは広告やSNS、SEOを駆使してユーザーをサイトに呼び込みます。 もうひとつは「コミュニケーションプランナー（CP）」。 彼らは訪れたユーザーを登録・購入へ導く導線を整え、ページを改善します。 MPは外の世界から人を連れてくる“広報的存在”。 CPはサイト内部で人の心を動かす“体験設計者”です。 この2つが噛み合ってこそ、Webサイトは単なる情報の箱ではなく、 成果を生み出す仕組みに進化します。

集客と広告運用の最適化

次に、サイトに人を集める仕組みづくりです。 メディアプランナー（MP）は、まさに流入の設計者。 彼らの仕事は、「どんな経路で、どんな人が、どんな気持ちでサイトに来るか」を設計することです。 そのために、Google広告やディスプレイ広告、SNS、メールマーケティング、 アフィリエイトといった複数の武器を使い分けます。 たとえばGoogle広告なら、 検索ワードとサイトのキーワードをしっかり一致させるだけで、 100回の訪問のうち1件ほどのコンバージョンが期待できる――という経験則があります。 広告文やタイトルの作り方にもコツがあります。 「Otter Keywords」などのツールを使って、 ユーザーの検索意図を的確に捉えた言葉を選ぶこと。 さらに、ヒートマップやGoogle Analyticsを使って、 ページ内のボタンの位置や動線を分析・改善していくこと。 これらの積み重ねが、クリック率や成果率を着実に押し上げていきます。 また、MPは常に数字と向き合う存在でもあります。 どの媒体から何人が来て、どれだけ滞在し、どこで離脱したか。 そのデータを見ながら、A/Bテストで仮説を検証し、次の改善につなげます。 アフィリエイトやメールマーケティングも重要な手段です。 BtoBtoCのモデルでは、メール経由のコンバージョン率が1〜3％ほどあるとされます。 成果の高いパートナーと直接関係を築くことも、MPの重要な仕事です。 つまり、MPは“広告の打ち手”ではなく、 「人の流れをデザインする人」なんです。

コミュニケーションプランナー（CP）の役割

ユーザーがサイトにたどり着いたあとは、CP（コミュニケーションプランナー）の出番です。 CPの仕事は、訪れたユーザーを登録や購入といった「行動」に導くこと。 いわば、サイト内の心理導線を設計する役割です。 そのために彼らが扱うのは、分析ツールとデータの数々。 Google Analytics（現在のGA4）やGoogle Tag Manager、BigQuery、Heatmapなどを駆使し、 どんなユーザーが、どこから来て、どこで止まり、どこで離脱したのかを細かく追跡します。 GA4では、これまでの「ページ単位」ではなく、 ユーザーの行動を「イベント単位」で記録します。 つまり、「ページを見た」だけでなく、「スクロールした」「ボタンを押した」「動画を再生した」 といった動作すべてがデータになるんです。 CPはこのデータをもとに、登録や購入への導線を整理していきます。 たとえば、 フォーム入力までのステップを減らす（画面遷移を最小化） どのページからでも申し込みに進めるようにする（経路を増やす） 成果の定義を広げて小さなアクションも評価する（コンバージョンの拡張） こうした改善を重ねることで、サイト全体が“売れる導線”に変わっていきます。 そして最も重要なのは、CPがMPやエンジニア、デザイナーと密接に連携すること。 集客と分析、体験設計が一体化したとき、 初めてWebサイトは「見られる場所」から「成果を生み出す装置」に変わります。